“ワクモ”は鶏小屋に住み着く厄介なダニ

南関東にある“こーちんの庭”のニワトリ達は、4種類の害虫に悩まされています。 ニワトリを刺して吸血する“トリサシダニ”、“ワクモ”、“ニワトリヌカカ”と、お腹の中に寄生して栄養をとる“ニワトリ回虫”です。 何れも直ちにニワトリの生命を脅かす害虫ではありません。 しかしながら、痒さがストレスになったり、栄養を取られて貧血になったりしますから好ましくないでしょう(苦笑)。 根気よく対処しなければならないものもありますが、身近で入手できる殺虫剤や薬草で駆除できます。 害虫の被害が大きくならないうちに対処しましょう。

ニワトリに害を与える吸血虫や寄生虫は、早期発見が大事です。 早期発見&早期対策(駆除)を行えば、被害を最小限に抑えられます。 ちなみに、冒頭に「直ちに生命を脅かすことはない」と記しましたが、もともと病気や高齢で弱っているニワトリには致命的になり得ます。 弱っているからこそ、運動能力が低下して害虫被害に遭いやすいとも言えますね。 元気なニワトリでも、寄生虫を放置して数が増えてしまうと命に関わるから要注意です。

気付きにくく駆除に苦労するダニ(吸血)被害は、鶏小屋や産箱に住み着く“ワクモ”でしょう。 暖かい季節に活発になり、鶏の暖かい身体に寄生しない害虫だから寒い冬季に被害は減ります。 ニワトリの砂浴びや羽繕いによって自主的に駆除できる身体につくトリサシダニと違い、鶏小屋に住み着くから被害が深刻になりがちです。 夜行性で昼間に鶏小屋の隙間に隠れてしまうワクモは、注意深い観察が必要ですよ。 夜間、ワクモに吸血されているニワトリは、痒くて羽繕いすることがあります。 吸血中のワクモを羽繕いで潰すと、クチバシに血痕が付着することもあるでしょう。 朝、コロニーに帰りそびれたワクモが鶏小屋を這っていることもあります。 ワクモ対策は、それらサインを注意深く観察するこことから始まります。

鶏小屋に住み着いたワクモのコロニー
(鶏小屋の木材にできたワクモのコロニー、ニワトリを吸血して膨らみ赤く変色)
ワクモは夜間に吸血するときに鶏に移る
(昼間にコロニーに隠れているワクモは、夜間に吸血するときにだけ鶏の体に移る)
ワクモは鶏小屋の隙間に隠れるから殺虫駆除に苦労する
(鶏小屋の隙間に隠れているワクモは、殺虫駆除に苦労することが多い)
ワクモの駆除は隙間への食器洗い洗剤噴霧
(鶏小屋や産箱にワクモが発生しら、隙間にも食器用洗剤を噴霧して駆除する)
鶏小屋の血痕はワクモ発生の疑い
(鶏小屋に血痕を見付けたら、ニワトリがワクモの吸血被害に遭った可能性がある)

ワクモの殺虫駆除【鶏小屋や産箱をチェック】

“ワクモ”は、屋外飼育のニワトリに発生する吸血ダニです。 鶏の皮膚や羽毛に寄生して吸血する“トリサシダニ”と違い、吸血時以外は鶏小屋や産箱などに作ったコロニー(棲家)に戻って隠れています。 鶏の身体に住み着いて一生を終えるトリサシダニと大きく生態が異なりますよ。 ワクモは鶏小屋(寝床や産箱)を丸ごと駆除しなければならず、寄生した鶏の身体だけを駆除すれば良いトリサシダニに比べて根気が必要で厄介です。 鶏が寝床(産箱)にする周辺のすべてが駆除対象エリアになります。 殺虫剤に耐性があり効きにくいのもワクモが厄介な理由です。 そして、昼間には身体から離れますから、ニワトリが自主的にやる砂浴びや日光浴でもワクモの数を減らせません。 ワクモの根絶は、飼い主による長期間の殺虫駆除作業が必要です。

なお、ワクモは、スズメやハト、ムクドリなどの身近な野鳥の巣に発生します。 飼い始めた鶏のヒヨコの飼育環境にはおらず、ワクモが増えすぎて身体にも寄生した野鳥との接触や近付いた際にうつされます。 可能性が高いのは、屋外飼育で餌を盗み食いにきた野鳥が羽ばたいてワクモが落ち、それが鶏の体に移ることでしょう。 ワクモが移ったニワトリが鶏小屋に入ると、ワクモは小屋に移り増殖してコロニー(棲家)を作ります。 ワクモ被害は、(ずっと屋内飼育している)野鳥との接触のない鶏に発生しません。

ワクモの駆除は大変なうえ、野鳥からうつされてしまうので駆除を終えても再び発生するリスクがあります。 野鳥との接触機会のある屋外飼育では、日頃からワクモの発生に注意しましょう。

ワクモは、ニワトリの身体検査で見付けられません。 駆除も大変ですが、ワクモ被害を確認するのもトリサシダニに比べて難しいです。 チェックポイントは、鶏小屋(産箱)や寝床の周りに付着する“血痕”。 ニワトリのクチバシに付着する血痕もワクモ被害の可能性を示しますよ。 夜間、ワクモが身体について吸血すると、痒さでニワトリは羽繕いを始めます。 吸血中や直後のワクモをクチバシで潰して床などで拭うと“血痕”として残ります。 人が鶏小屋を歩いた際にワクモを踏み潰しても血痕になるでしょう。 血痕を見付けたら、鶏小屋や産箱、寝床の周りにワクモのコロニーができてないかを確認しましょう。

そのほかの検査方法は、朝方、鶏小屋(産箱)や寝床の周りに砂粒(ほこり)がないかをチェックすることです。 もし砂粒のようなものがあるなら、指で潰して下さい。 日の出のあと、コロニーに帰りそびれたワクモだったなら潰して血痕になるはずです。 ただの砂やホコリなら血は広がりません。

1、鶏小屋や産箱にワクモのコロニーがないかをチェックする
2、ワクモのコロニーは、木材の隙間や人目に触れない産箱裏などに作ることが多い
3、鶏小屋や産箱に“血痕”が付着していたらワクモの疑いがある
4、鶏のクチバシに“血痕”が付着していたらワクモの疑いがある
5、朝、鶏小屋の砂粒(ほこり)のようなものを潰して血が出たら、吸血後のワクモ
6、ワクモが増えて鶏が弱った場合を除き、ニワトリの身体に寄生することは稀
7、ワクモの駆除は、鶏小屋や産箱が対象となる(寝床の周辺エリアすべてが対象)
8、昼間は鶏から離れて過ごし、夜間に鶏の身体に移動するのがワクモの習性
9、ワクモ駆除方法の1つは、食器用洗剤で窒息死させること(鶏小屋を洗剤で洗う)
10、20倍や30倍に希釈した食器用洗剤を噴霧機を使い鶏小屋や産箱に噴霧する
11、手肌の脂が落ちてガサガサになる安価な(肌に優しくない)食器洗剤がお勧め
12、ワクモが隠れそうな木材の隙間や継ぎ目、穴に噴霧器で希釈洗剤を噴射する
13、鶏の身体に付かず、周囲の環境に住み着くワクモの殺虫駆除は根気がいる
14、食器用洗剤を使った駆除を約1週間おきに行うと、次第にワクモが減る
15、産箱のワラや床材を使いまわす場合、数時間、希釈洗剤に漬け置きすると良い
16、暖かい鶏の身体に寄生しないワクモは、寒い冬季に不活発になり数が減る
17、市販のハエや蚊、ゴキブリ向け殺虫スプレーは、ワクモ駆除の決定打にならない
18、大きめのヤカン(4L)で熱湯を掛けてもワクモ駆除の決定打にならない

下記映像は、ワクモの殺虫駆除作業です。 私は、20倍〜30倍に希釈した食器用洗剤を噴霧器で噴射してワクモを駆除します。 ほかの駆除方法もあるのでしょうが、私はこの方法に行き着きました。 鶏小屋、産箱、床板を希釈洗剤で水洗いしてワクモを窒息死させます。 噴霧器を使う理由は、木材の隙間や穴に住み着くワクモも噴射して殺虫できるから。 そして、再利用する産箱のワラを、数時間、200倍〜500倍に希釈した食器用洗剤に漬け置きして殺虫駆除します。 ワクモは、被害を見付けにくい害虫です。 被害を確認できなくても、予防として定期的に“食器洗剤”で殺虫駆除作業を行うのも良いでしょう。 映像を見て頂くと駆除の方法が分かりやすいと思います。


YouTube動画“鶏小屋のワクモ駆除〜ニワトリを吸血するダニを食器洗剤で殺虫退治〜”
次のURLです:https://youtu.be/bSu2hshm8JA
鶏小屋や産箱に住み着く“ワクモ”を殺虫駆除する方法、作業の映像です。


YouTube動画“鶏小屋のワクモ退治〜ニワトリの吸血ダニを食器洗剤で駆除”
次のURLです:https://youtu.be/GjrCInTkI1M
産箱に住み着く“ワクモ”を食器洗剤を泡立たせて駆除する作業映像です。

ワクモの生態T【Wikipedia】

ワクモの生態についてWikipediaからの記述を下記に転載します。 「夜間、休息している鳥類を吸血」「昼間、ワクモは裂け目や亀裂などに潜伏」は、ワクモの習性です。 そして、対策として「鶏小屋は、潜伏場所(亀裂や裂け目)がない設計にすることが重要」はその通りだと思います。 我が家の鶏小屋は、表に出ているワクモを殺虫駆除しても裂け目や隙間のワクモが残り、再び増殖を繰り返しました(のちに“食器用洗剤の噴霧”で解決)。 ワクモの駆除に苦労した理由が材木の“隙間”や“亀裂”でしたから、それらをなくすことは重要だと考えます。
URL:https://ja.wikipedia.org/wiki/ワクモ

ワクモ(学名:Dermanyssus gallinae)とは、家禽や鳥類の外部寄生虫 (ectoparasite) であり、赤色のダニとしても知られている。 ワクモは夜間に休息している鳥類を吸血する。 吸血後、日中は地面の裂け目や亀裂などに潜伏し交尾や産卵を行う。 非吸血時には集合フェロモンの働きにより数万匹からなる集塊を形成する。 最適な環境下では増殖のサイクルは7日間であり、生息数は爆発的に増加する。 影響下にある家禽の群に貧血、衰弱、産卵低下や失血死を引き起こす。 また、ワクモによる病原菌の媒介も報告されている。

ワクモは空の鶏舎に10ヶ月間生存することができ、鶏舎の完全な清浄化は重要である。 ワクモの潜伏場所が無いような鶏舎の設計は同様に重要である。 化学的制御を行う場合は抵抗性を有する個体の出現を避けるようなローテーションが必要である。 化学的制御には有機リン剤、カーバーメート剤、ピレスロイド剤などが使用される。

木材へのクレオソート処理はワクモの殺滅と忌避に効果があるが、鶏卵の汚染に注意を払う必要がある。 ワクモはヒトを含む哺乳類のいくつかの種を吸血するが、繁殖には鳥類の宿主が必要である。

ワクモの生態U【Web検索】

Web検索して得られたワクモ情報を箇条書きにしました。 真偽不明の情報もあるかも知れませんが、ワクモの習性について大よそ分かると思います。 「1羽のニワトリに1万〜10万匹のワクモが取り付き、一晩で貧血(失血?)で死亡した」というのは怖い話です。 人が刺されると猛烈に痒いという話も怖いですね。 そして、市販の殺虫スプレーが効きにくい理由は「薬剤耐性のワクモが増殖」「体表を油でコーティング」だと考えられます。 私が行き着いた殺虫方法“食器用洗剤を噴霧”は、ワクモの油コーティングを溶かして窒息死させるのでしょう。 以下に検索結果から抜粋したものを羅列します。

・ワクモは、ニワトリダニとも呼ばれ家ダニに似ている
・大半のワクモは、夜間に鶏へ移動して頭部や頸部を好んで吸血する
・ワクモは、30分から1時間半ほど吸血したあとに隠れ家(生息場所)に戻る
・隠れ家は、ケージのつなぎ目、餌箱、水樋、卵うけ、機械の隙間や陰、
 止まり木、ネストの割れ目や裂け目など
・ワクモは、体長0.7〜1.0ミリメートルのほとんど無色のダニ、吸血すると赤から黒色に変わる

・薬剤耐性を持ったワクモが増えている
・ワクモは、体の表面に油のコーティングをしていて効かない薬剤がある
・ワクモの巣は、薬剤に強い構造になっていて、幼虫を守っている
・こびりついた餌や鶏糞の内側に潜み、天敵や薬剤から隠れることがある
・昼は鶏から離れるのがワクモの習性だが、大発生すると鶏に着いたまま昼を過ごすのもいる

・高温に弱く、65℃以上では即死する
・65℃以上のスチーム高温水洗浄、火炎バーナーでゲージの金属部分などを焼く方法が効果的
・太陽光に弱く、陽の光に当てると直ぐに絶命する
・1回目の駆除で残った卵が孵化し産卵する以前(5〜10日間)に、2回目の駆除をする
・寿命は約3ヶ月、しかし空の鶏舎で吸血せずに9ヶ月間生き延びるものもいる

・最適な環境だと、7日間で孵化から産卵までのサイクルが出来あがる
 (夏場に短く、気温が低いと長くなる)。
・夏季では、卵期2〜3日、幼虫期1〜2日、若虫期3〜5日で、卵から成虫まで5〜9日間である
 (トリサシダニは、卵から成虫まで3〜5日で、ワクモやイエダニよりサイクルが短い)
・活動は外気温により左右され、25℃ 前後で吸血活動を行うが、−3℃の低温だと休止する
・一般的に3月頃から活動を始め、春から秋にかけて盛んに繁殖し、冬場には不活発となる
・ヒトを含む哺乳類のいくつかの種を吸血するが、繁殖には鳥類の宿主が必要

・ヒトも刺すが、体質によっては刺されにくい人もいる(蚊と同じ?)
・ヒトが刺されると大変な痒みで、家ダニより痒く、収まるまで3週間くらいかかり痕も残る
・駆除が遅れると、ところ構わずに巣を作り、そこから溢れ出ると通路や床を這いヒトも刺す
・高温多湿の時期に大発生しやすく、鶏を激しく襲い体力を衰えさせ、産卵を休止させる
・家禽コレラを媒介したり、セントルイス脳炎ウイルスを保持していたとの報告がある

・ワクモの最大の捕食者は何千種類もあるクモであると、昔から考えられている
・鶏の血を一杯に吸ったワクモは、鶏舎に住み着いた小さなクモ達の絶好の栄養源になる
・昔の対策は、硫酸ニコチンを塗った宿り木の下へムギワラの“ワクモホイホイ”を置き、
 鶏よりも早起きしてそれを燃やすという方法だった
・吸血による貧血や吸血ストレスは、ニワトリの飼料摂取量の減少と、
 産卵率の低下(10%前後)、卵重の減少を引き起こす
・重度寄生(数万〜10万匹/1羽)により、一晩で貧血に起因する死亡例もある

・2007年度、千葉県畜産総合研究センターの国内約11%の飼養農家への調査では、飼養羽数には関係なく、小規模農場から大規模農場において広く被害を確認できた(ワクモは、レイヤー農場で85%、レイヤー種鶏農場で56%、ブロイラー農場で0.6%、ブロイラー種鶏農場の29%で確認)
・過去、ニワトリの吸血被害はトリサシダニが大半だったが、環境変化に比較的強く、
 近年生息域を沖縄県を除く全国に拡大したワクモが増えている
・トリサシダニは、ワクモと比べ小型であり、鶏の肛門周囲から離れることが殆ど無く、
 環境変化に比較的弱い

ワクモの殺虫駆除に食器洗い洗剤
(ワクモの殺虫駆除には、呼吸器の“気門”を塞ぐ食器洗い洗剤の噴霧が有効)
ワクモ駆除は噴霧器が効果的
(鶏小屋や産箱の隙間に希釈洗剤を噴霧機で噴射すると、ワクモの殺虫駆除に効果的)
鶏小屋のワクモ殺虫駆除作業
(鶏小屋へのワクモ殺虫駆除作業は、壁面にも希釈洗剤を噴霧してワクモを窒息させる)
産箱ワラのワクモは希釈洗剤に漬け置き
(産箱のワラを再利用する場合、希釈洗剤に数時間漬け置きするとワクモを殺虫できる)

ワクモの駆除方法

“ワクモ”が住み着く場所は、夜間にニワトリが就寝する場所です。 多くの場合、鶏小屋に住み着きます。 産卵に雌鶏が長く座り込む産箱にも住み着きますね。 一生をニワトリの身体で過ごすため、身体チェックで簡単に有無を確認できる“トリサシダニ”と比べて、発覚しにくいのがワクモ被害です。 狭い身体に寄生するトリサシダニよりも、ワクモは広い範囲に住み着くから殺虫駆除に手間が掛かります。 ワクモが増殖する前に少しでも早く被害に気付くこと。 そして、厄介なワクモを根気よく確実に殺虫駆除することが大切です。 以下に、ワクモ駆除の手順を解説していきます。

冒頭写真のように、鶏小屋や産箱に小さな血痕を見付けたら“ワクモ”を疑いましょう。 血痕がなくても、検査を数日に1回くらいの頻度で行うのをお勧めします。 ワクモの検査は、朝に行います。 ニワトリが寝床にしている鶏小屋(産箱)に落ちている“砂粒”や“埃”を指で潰してみましょう。 朝、ワクモはニワトリの身体を離れて棲家(コロニー)に帰ります。 帰宅途中のワクモは、鶏小屋(産箱)の床を這っているはず。 潰して血が滲んだのなら、それは砂粒や埃ではなく“ワクモ”です。 血痕を見付けたあとにも、この方法でワクモをチェックして下さい。 砂粒や埃を潰す検査をすると、ワクモの有無がより確実に分かります。

使う道具は、“食器用洗剤”、“噴霧器”、洗車に使うような“ブラシ”です。 食器洗い洗剤を噴霧したあと、鶏小屋や産箱を水洗いします。 ホースから出る“水”があると便利ですね。 その他には、産箱のワラや床材を再利用する場合、漬け置きする“大きな容器”を使います。

ワクモは、卵から孵り卵を産む成虫になるまでのライフサイクルが約10日間です。 そして卵の期間には、希釈洗剤の噴霧が効きません。 ワクモの卵が孵るのが2〜3日間と言われていますから、1回目の駆除の5日後〜1週間後を目安に次の駆除をしましょう。 1回目の駆除を生き抜いたワクモの卵は、孵化して幼体になっているはずだから駆除できます。 駆除作業2回で完全駆除できれば良いが、隙間に隠れたワクモの一定数が生き残ります。 2回で終わるトリサシダニと違い、根気よく5日〜1週間毎の駆除作業が必要な理由です。

【殺虫剤はあまり効かない】
ニワトリの身体に寄生する“トリサシダニ”と異なり、鶏小屋(産箱)に住み着く“ワクモ”には、強い殺虫剤も使えます。 たとえば、“ゴキジェット”のような強力な殺虫剤を噴霧しても問題はないでしょう。 しかしながら、思ったほどの効果はありません。 ゴキブリ殺虫剤ならワクモを瞬殺できるように思えても、生き残ったワクモが増殖して元通りにコロニーが復活します。 ペットの身体に直接噴霧するため、薬効を抑えているドギーマン社製“ノックレン”や、アース・バイオケミカル社製“殺虫・虫よけボディースプレー”に比べれば、200円程度で購入できる“ハエ・蚊殺虫スプレー”でさえ何倍もの殺虫力があるのでしょう。 しかしながら、私の経験からワクモ完全駆除には力不足です。 我が家の鶏小屋(2m×1m)のワクモ駆除に、1回につき殺虫スプレー缶2本を使い切り、1週間毎に繰り返しましたが、完全駆除に至りませんでした。 ゴキジェットを使用しても結果は好転せず、当時、お手上げ状態だったのを記憶しています(苦笑)。

もちろん、ゴキジェットのような強力な殺虫スプレーを直接噴霧すればワクモも殺虫できます。 しかしながら、鶏小屋を丸ごと入念に噴霧するにはスプレー缶を何本も使うことになり、費用が掛かりますね。 それでも、直接噴霧できない鶏小屋の隙間に潜むワクモには、油膜コーティングで防がれてしまうでしょう。 費用対効果の面で、希釈した安価な食器洗い洗剤を噴霧器で噴射することをお勧めします。 100円未満で入手できる食器用洗剤(600ml)を25倍に希釈したなら、容量4リットルの噴霧器(1,500円ほど)に4回も充填できますよ。 我が家の2m×1mの鶏小屋(産箱や床板、鶏小屋壁面)への噴霧は、2リットルもあれば十分です。 ワクモの殺虫駆除作業を8回もやれます。 そのうえ、ゴキジェットを上回るワクモ殺虫能力です。

【手肌がガサガサになる食器用洗剤】

ワクモの殺虫駆除に食器洗い洗剤

ワクモ駆除に使用する食器用洗剤は、“手肌に優しくない”ものがお勧めです。 ワクモの身体を守る油膜コーティングは、殺虫スプレーを弾くほか、呼吸器官(気門)に水が詰まるのを防ぐ役目があります。 ワクモの油膜を溶かして無効化するには、人間の手肌もガサガサに荒す“優しくない食器用洗剤”が効果的です。 洗剤で溶かされて油膜コーティングを失ったワクモは、希釈洗剤が呼吸器官(気門)に入り込み確実に窒息死します。 店頭やWebショップで購入する際の目安は、ズバリ“価格”ですね。 500mlや600mlの内容量で100円を切る洗剤は、間違いなく手肌の脂を落ちして荒すでしょう。 そのような洗剤は、たとえ「手肌に優しい」と記してあっても、多くのケースで手肌がガサガサになります(笑)。 炊事をする方には有り難くありませんが、ワクモが嫌がる食器洗剤だといえるでしょう。

上記写真は、私がワクモの殺虫駆除に使う食器用洗剤です。 産箱のワラを使いまわすのに、たらいに張った希釈した本洗剤でジャブジャブ洗うと手が荒れます(笑)。 ほんの1分くらい手が浸かったくらいですが、確実に手肌の脂を落とされますね。 普段の食器洗いには、使いたくない洗剤です(苦笑)。 ちなみに、600mlで100円以下でした。 手肌が荒れる食器用洗剤は、間違いなくワクモの殺虫駆除に効果があると考えます。 人の手肌の脂も落としますが、厄介なワクモの油膜コーティングをキレイに剥がして殺虫駆除できるはず。 このような食器用洗剤をワクモ駆除に使うといいでしょう。

希釈した洗剤に触れる場合でも、安価な食器用洗剤の“油分解力”を侮ってはいけません(笑)。 人の手肌をガサガサに荒しますから、使い捨てのゴム手袋を着用するといいでしょう。 もし素手で作業をした場合、ハンドクリームをよく塗ってケアすることをお勧めします。

清掃しやすい小屋作りが大事
(分解清掃できる鶏小屋は、ワクモ発生に希釈洗剤を噴霧して駆除しやすい)
床板を取り外して天日干し
(取り外した床板を定期的に強い陽射しに干すとワクモ大発生の予防になる) ワクモが嫌がる日光で追い払う
(定期的にニワトリケージを強い陽射しに干すとワクモ大発生の予防になる)
産箱を干してワクモを追い払う
(ワクモが住み着きやすい産箱も定期的に強い陽射しに干すと大発生の予防になる)

清掃しやすい鶏小屋と虫干しでワクモ予防

“ワクモ”が住み着く場所は、夜間にニワトリが就寝する場所です。 多くの場合、鶏小屋に住み着きます。 ワクモ発生を見越して清掃しやすい鶏小屋を製作するといいでしょう。 床板や寝床、産箱を分解して取り外せる構造にしておけば、ワクモ駆除のみならず普段の清掃にも便利です。

ワクモ大発生を予防する意味で、鶏小屋やケージを強い陽射しに干すとよいでしょう。 ワクモに限らずダニの仲間は、日光を嫌います。 飼い主が気付かない少量のワクモを陽射しに干すことで追い払えます。 ニワトリが日光浴で羽を虫干しするのと同じですね。 分解できる鶏小屋を製作すれば、産箱や床板を取り外して干せます。

【木材に防虫剤を塗る】
鶏小屋を製作するとき、使う木材に防虫剤を塗るといいでしょう。 ホームセンターで販売される木材の“保護剤”や“防腐剤”は、防虫効果がある製品が多いです。 風雨に長持ちする鶏小屋製作のついでに、防虫効果がある塗料を2〜3度塗りするとワクモ発生をある程度抑えられるでしょう。

木材の“保護剤”や“防腐剤”を塗るときに注意すべきことがあります。 ニワトリを入居させる前、2週間や1ヶ月間の猶予を持って塗りましょう。 すでにニワトリ達が暮らす鶏小屋に塗ると“シックハウス症候群”になってしまいます。 つまり、溶剤中毒です。 最悪、中毒症状から命を落とすこともあり得るので、少なくても2週間くらい放置してから入居させましょう。 十分な期間、風に晒して塗料の臭い(シンナー臭)がなくなれば、ニワトリを入居させてもいいでしょう。


YouTube動画“鶏小屋製作25・初清掃入居は問題なく掃除も楽々簡単!”
次のURLです:https://youtu.be/a3LODnPwsbE
床板などを分解できる鶏小屋なら清掃が簡単、ワクモ駆除もやりやすい


YouTube動画“鶏小屋製作3・防腐剤塗り〜1本ずつ木材保護塗料で処理〜”
次のURLです:https://youtu.be/qQ-hd7Fom0s
“ワクモ”が嫌がる防虫効果がある塗料を鶏小屋に使う材木に塗る

【トリサシダニ】鶏のお尻や羽毛に寄生

もっともポピュラーな鶏の寄生虫は、トリサシダニです。 お尻周りの羽毛にコロニーを作ります。 砂浴びや日光浴で自力駆除できるけど、体力の弱った高齢コッコや病気のニワトリの場合、トリサシダニが増えて重度になることがあります。

鶏を吸血する寄生虫トリサシダニ、殺虫駆除と対策

【ニワトリヌカカ】鶏を襲う小型の蚊

食卓で目にするショウジョウバエ(ゴマのハエ)と同じくらいの大きさの蚊です。 鶏を専門に吸血するニワトリヌカカは、ショウジョウバエと間違えやすく被害に気付きにくいです。 通常の蚊と同じく、蚊取り線香や殺虫スプレーで駆除します。

鶏を吸血する極小の蚊・ニワトリヌカカ

【鶏回虫】ニワトリの胃腸に寄生

鶏回虫は、ニワトリの体内に寄生します。 人間の回虫と同じく、ニワトリの胃腸に寄生して養分を摂りますよ。 回虫駆除には、人間にも効くヨモギを食べさせるといいでしょう。 昔から使われる虫下し薬もヨモギから抽出した成分ですから、効果は間違いありません。

ヨモギを食べさせ鶏回虫(線虫)を駆除

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