ニワトリ回虫(線虫)
(上記アニメーションのように糞にウネウネと動く虫がいたら“回虫”や“線虫”です)
ニワトリ回虫は下痢便で分かる
(回虫や線虫を見付けるには、下痢便や朝方にする柔らかい“盲腸便”を観察すると良い)

鶏のお腹に付く寄生虫:ニワトリ回虫(線虫)

ニワトリには、何種類かの寄生虫が付きます。羽毛や皮膚表面に住み着いて吸血する“トリサシダニ”。鶏舎や産箱の隙間に潜み、夜間に這い出てニワトリから吸血する“ワクモ”(ダニ)。“ニワトリヌカカ”は、ニワトリを狙って吸血するヤブ蚊の1/3サイズの小さな蚊です。そして、“鶏回虫(線虫)”は、ニワトリの胃腸に寄生して養分を吸い取ります。本ページでは、鶏回虫について記します。

鶏回虫や線虫は、柔らかい糞の中でよく動きます。上記アニメーションのように、排出された直後の下痢便や盲腸便の中にウネウネと動くミミズのような虫がいたら“鶏回虫(線虫)”に間違いないでしょう。鶏回虫は、線虫の仲間で数種類がニワトリに寄生するそうです。長さ数mmから10cmの回虫や線虫が、ニワトリの胃腸に寄生することがありますよ。後述する身近な薬草“ヨモギ”で駆除をしましょう。

鶏回虫(線虫)は、土壌内に住む(回虫を宿した)ミミズをニワトリが食べることで寄生します。ミミズ以外からも回虫がニワトリに移るそうですが、回虫の卵を宿したミミズからのルートが多いようです。ミミズや虫を捕まえて食べる我が家の放し飼いのニワトリ達が、ときどき回虫に寄生されてしまうことにも納得です(苦笑)。

鶏回虫(線虫)がニワトリに寄生した時の症状は、便の中にウネウネ動く線虫が排出されることです。寄生した回虫が少ない場合には、目立った健康被害はありません。若くて健康なニワトリならば、線虫が増えずに普段通りの生活をしていますよ。しかし、もともとが高齢で弱っていたニワトリや寄生した線虫が増えたニワトリは、食欲がなくなり、元気もなくなってしまいます。増えた回虫が胃腸内で養分を吸い取るから、痩せて栄養失調状態になりますよ。栄養不足から、ほかの病気にも掛かりやすくなります。

直ぐに命を落とすことはありませんが、可能ならば駆除したいものです。まず、下痢や朝にする柔らかい“盲腸便”にウネウネと動く鶏回虫(線虫)がいないかどうかを観察しましょう。線虫(回虫)は、意外と貧弱な寄生虫です。コッコの体外に排泄されて温度が低下すると、急速に弱り動かなくなる鶏回虫です。回虫の有無を確認するチャンスが限られます。排出されて直ぐの温かい盲腸便(チョコ糞)を観察しましょう。

ニワトリ回虫・線虫対策にヨモギを微塵切り
(ヨモギを微塵切りしていると、ニワトリ達が「食べたい!」と待ちきれない様子)
ヨモギを食べるニワトリ達
(虫下し効果があるヨモギを、美味しそうに食べるニワトリ達)

鶏回虫(線虫)駆除には、身近な薬草・ヨモギを食べさせる

下記は日本に自生する一般的なヨモギ“オオヨモギ”と、薬効成分“サントニン”を含む海外由来の“ミブヨモギ”“シナヨモギ”について、回虫の虫下し効果を調べたものです。サントニンを含む海外由来のヨモギはもちろん、日本に自生するヨモギでも汁や葉っぱを食べて、人間とニワトリの虫下し効果を期待できます。なお、製薬に使われるサントニンの過剰摂取を防ぐため、新芽を摘んで食べると良いです。ヨモギが成虫の回虫に効果があっても、回虫の卵にヨモギの効果がない事も分かりました。回虫の卵は1日や2日で孵るそうです。数日間、連続してヨモギを食べ続けることで、全ての卵が回虫になり、ヨモギの薬効で完全駆除できるでしょう。ちなみに、本Webページ左側に“虫下し薬”の広告が表示されています。これら虫下し薬の幾つかもサントニンを含んでいますよ。薬剤として強力に回虫を駆除できることが分かります。これらの虫下し薬を鶏の体重に合わせて加減して与えてもいいです。

【ヨモギの虫下し効果】
古くから「ヨモギで作った草餅で虫下し」という風習が日本にあります。草餅にも使われる“オオヨモギ”を食べさせたニワトリは、鶏回虫がいなくなります。身近に自生することで入手が容易なオオヨモギは、後述の成分“サントニン”以外の薬効で回虫を駆除できているのでしょう。海外のヨモギに含まれるサントニンよりも駆除効果が弱いと思われますが、古くから日本の風習として虫下しに利用されてきたオオヨモギにも効果があると考えます。沖縄では、子供に年に1〜2回、成長したヨモギの絞り汁を飲ませて虫封じをする習慣があるとのこと。人間、ペットに関わらず、身近なオオヨモギが回虫駆除に役立つでしょう。

なお、日本に自生するオオヨモギについて、人間の摂取量は「妊婦を除き、日常的に食べられる量ならば問題ない」とのこと(Web情報)。ニワトリについては、数日間の連続だとしても、自発的に食べる量であれば健康被害はないと考えます。本能的に「もう食べたくない」「飽きた」と、ニワトリ達がヨモギを食べ過ぎることはないでしょう。本Webページに記した「5日間程度、連続で食べさせる」方法に、問題はないと考えます。

【サントニン】
回虫駆除薬の原料に使われる“ミブヨモギ”と“シナヨモギ”に、“サントニン”という成分が多く含まれます。サントニンは、回虫などを駆除する“虫下し”に効果がありますよ。日本に自生しないヨモギですが、入手できるなら利用するといいでしょう。

サントニンは、回虫(線虫)の自発運動を抑える作用を示し、虫体を排便とともに排出させることを目的として用いられる。回虫に対しては作用するが、蟯虫に対しては有効性が認められていない。便秘がちな人は、虫を排泄するために、サントニン服用後に適宜下剤を用いた方がよい。なお、海外由来のヨモギに含まれるサントニンを大量に摂取すると肝臓にダメージを与えることもあるから要注意。

サントニン服用中は油性下剤のヒマシ油、加香ヒマシ油などと併用してはならない。併用するとサントニンの吸収が促進され、中毒症状(感覚異常、頭痛、悪心、腹痛等)があらわれることがある。

消化管から吸収されたサントニンは主に肝臓で代謝される。肝臓病の診断を受けた人では、肝障害を悪化させるおそれがあるため、使用する前にその適否につき、治療を行っている医師又は処方薬の調剤を行った薬剤師に相談されることが望ましい。虫体にのみ作用し、虫卵には作用しない。

ミブヨモギとシナヨモギについて記したと思われるWeb情報によると、「背丈10cmくらいまでの若いヨモギ、あるいは大きく成長したヨモギでも上部から10pくらいまでの新芽を食べるのが安全」とのことです。新芽は、害を与えるほどの薬効成分を含んでおらず、時期を問わず食用に適しているそうです。

・我が家のコッコ達に連続してヨモギを食べさせる(下記YouTube動画)
4月のこと。我が家の雌鶏さんの糞に鶏回虫を見付けました。さっそくヨモギを摘みに行きましたよ。ヨモギ(オオヨモギ)は、自宅敷地内や近所の道端、空き地から簡単に採取できます。1年を通じて枯れないヨモギです。コッコ達のウンチに回虫が出たとき、すぐに採集して食べさせてやれます。助かります。今回、我が家の裏からヨモギを採ってきました。先端から約10cmくらいを刈りました。

包丁で刻んで食べさせました。我が家のコッコ達に限ったことかも知れませんが、ヨモギを嫌いません。苦味成分のせいか、夢中で大量に食べる事もありませんが、全員が食べてくれます。そこそこの量を食べてくれるから助かりますね。3日間、連続で与えたあと、2日間の休み。そして、再び2日間、連続で食べさせました。食べさせたのは合計5日間です。このサイクルで卵が孵ったあとの回虫も駆除できるはずです。休みを設けずに、5日間連続で与えても良いと思います。

卵には効かないヨモギですから、合計5日間、食べさせることにしました。5日間与え続ければ、その間に回虫の卵が全て孵化するでしょう。すべての回虫(卵)にヨモギの成分が効いて駆除できると考えました。5日間ヨモギを食べさせたニワトリ達は、無事にすべての鶏回虫を下せたようです。その後、糞の中に回虫が出てくることはありませんでした。



YouTube動画“鶏回虫をヨモギで駆除〜薬草を食べたニワトリは盲腸便の回虫が消滅〜”
次のURLです:https://youtu.be/-t2WWd-5qMs
ウンチの排泄後に撮影できた動く鶏回虫の珍しい映像を参考にしてください。


YouTube動画“鶏回虫対策にヨモギを食べさせる〜にわとりの虫下し!〜”
次のURLです:https://youtu.be/5pH9r4aX6n8
回虫駆除効果がある雑草“ヨモギ”を刈って数日間食べさせました。意外と美味しそう。

ヨモギは身近に自生する雑草
(鶏の回虫駆除に役立つ“ヨモギ”は、身近に自生する雑草です)
ヨモギの新芽を鶏に食べさせよう
(鶏回虫駆除には、ヨモギの新芽を摘んでニワトリに食べさせましょう)

ヨモギが生えている場所

ヨモギは、都市部でも見られる野草です。 道路の端(写真・上)や公園、空き地、畑や田んぼ脇などに自生していますよ。 春の新芽が出るころ、草餅を作るためにヨモギを摘む方を見掛けたりもします。何気なく歩いていると雑草にしか見えませんが(笑)、皆さんの自宅周りでも簡単に探せるでしょう。ニワトリ達の糞に線虫を見付けたら“ヨモギで虫下し”を試すと良いです。下記YouTube動画は、ヨモギを道路の端から刈る場面があります。参考にして下さい。


YouTube動画“鶏回虫対策にヨモギを食べさせる〜にわとりの虫下し!〜”
次のURLです:https://youtu.be/5pH9r4aX6n8
近所の道端から雑草“ヨモギ”を刈る場面も映っています。

【トリサシダニ】鶏のお尻や羽毛に寄生

もっともポピュラーな鶏の寄生虫は、トリサシダニです。 お尻周りの羽毛にコロニーを作ります。 砂浴びや日光浴で自力駆除できるけど、体力の弱った高齢コッコや病気のニワトリの場合、トリサシダニが増えて重度になることがあります。

鶏を吸血する寄生虫トリサシダニ、殺虫駆除と対策

【ワクモ】鶏小屋に巣食うダニ

トリサシダニと同じダニの仲間だけど、ニワトリの身体に直接寄生しません。 夜間に吸血する時だけ、ニワトリに移ります。 昼間、鶏小屋や産箱に作った巣(コロニー)に隠れて過ごします。 駆除は、鶏小屋を丸ごと洗浄する必要があり、隙間に隠れるから根気が要ります。

ニワトリを吸血するワクモの殺虫駆除(鶏小屋)

【ニワトリヌカカ】鶏を襲う小型の蚊

食卓で目にするショウジョウバエ(ゴマのハエ)と同じくらいの大きさの蚊です。 鶏を専門に吸血するニワトリヌカカは、ショウジョウバエと間違えやすく被害に気付きにくいです。 通常の蚊と同じく、蚊取り線香や殺虫スプレーで駆除します。

鶏を吸血する極小の蚊・ニワトリヌカカ

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