アシダカグモは、日本最大級の蜘蛛

本Webページで紹介するのは“アシダカグモ”です。家屋に生息する蜘蛛で“家グモ”といわれる種類ですよ。インドが原産地のクモと考えられています。インドから全世界の亜熱帯・熱帯・温帯地方へ生息域を広げたそうです。日本では、1878年に長崎で始めて報告されたと記録が残っています。商船の輸入果物に紛れ込んで日本に入って来た。または、江戸時代にゴキブリ駆除のために人為的に輸入されたと言われています。

アシダカグモの特徴は、日本最大の蜘蛛と言われる“その大きさ”です。足を広げた大きさは、ざっとアルバムCD1枚分(直径12cm)に相当します。成体のアシダカグモは、とても巨体です。しかしながら、厳密にいうと日本最大のクモは、沖縄に生息する“オオハシリグモ”(オキナワオオハシリグモ)か、南西諸島に分布する“オオジョロウグモ”かも知れませんね。本州に生息していないこれら2種のクモに、私は遭遇したことがなく大きさを知りません。そこでWeb検索をすると、「成人の手の平から足がはみ出る大きさに成長する」(オオハシリグモ)や「足を広げた大きさが最大で20cmに達することもある」(オオジョロウグモ)との情報が出てきます。文面通りに受け取ると、最大に成長したアシダカグモを上回る巨体蜘蛛です。ただし、日本に広く分布していないマイナーなクモですから、アシダカグモと合わせて“日本最大級”と呼ぶのがいいのでしょう。

日本国内のアシダカグモの分布は、福島より西の本州全域と四国地方、九州地方です。主食のゴキブリが分布する地域に多く見られます。冬季に雪が積もる北海道と東北地方、石川県ではアシダカグモの確認がないそうですが、局地的に生息している可能性がありますね。


YouTube動画“台所を警備するアシダカグモ〜日本最大級の蜘蛛は益虫〜”
次のURLです:https://youtu.be/Ns5dqEc1s4A
2016年9月、台所で遭遇した大きなアシダカグモの映像です。

夜行性のアシダカグモは夜に隠れ家から出る
(写真1、夜行性のアシダカグモは、夜になると捕食のために隠れ家から出てくる)
台所に出没した大きなアシダカグモ体長10cm
(写真2、台所で遭遇した大きなアシダカグモは、足を含めた体長が約10cm)
ガレージに出没した巨大アシダカグモは体長12cm
(写真3、ガレージで獲物を狩る巨大なアシダカグモは体長が12cmほどあった)

アシダカグモは、クモの巣を張らない害虫駆除する益虫

一般的に“クモ”と聞くと、顔や衣服に蜘蛛の巣が引っ掛かる“邪魔者”と思われがちですよね。多くの蜘蛛が巣を張って昆虫を捕食しますから、そのイメージは正しいです。しかしながら、アシダカグモは徘徊性のクモで巣を張りません。同様のクモに、ピョンピョンと跳ねて歩く“ハエトリグモ”がいます。アシダカグモとハエトリグモは、蜘蛛の巣を張らずに徘徊しながら獲物を捕食するハンタータイプのクモですよ。巨大なアシダカグモにビックリすることはありますが(笑)、室内にクモの巣を張られて顔に引っ掛かるような悪さをしません。

巨大なクモとして知られる南米のオオツチグモ科(タランチュラ)は、毒グモです。しかしながら、タランチュラの毒は人が亡くなるほど強くありません。映画は誇張し過ぎですね(苦笑)。映画やサスペンスドラマで殺人に使われる巨大な毒蜘蛛のイメージがあるからか、巨大なアシダカグモも怖がられてしまいます。実際のところ、アシダカグモは無毒です。素手で捕まえてちょっかいを出すような事をしない限り、人を噛むことも滅多にないでしょう。

アシダカグモの特徴として巨体をあげましたが、もう1つあります。それは、ゴキブリを捕食することです。人家に住み着き、徘徊しながら狩りをするアシダカグモが好む獲物がゴキブリですよ。アシダカグモにゴキブリが遭遇すると、すでに捕食中のゴキブリを放って飛び掛かります。アシダカグモは、次々にゴキブリを捕獲する優れたゴキブリハンターといえます。迷惑な蜘蛛の巣を張らずに害虫駆除をしてくれるから、役立つ“益虫”ですね。

ゴキブリを捕食するアシダカグモ
(写真4、夜に獲物を狩るアシダカグモは、ゴキブリを好んで捕食する益虫)


YouTube動画“ゴキブリを捕食するアシダカグモ〜体長測定”
次のURLです:https://youtu.be/ic7kB9Y-Y_k
2017年7月、最大級のアシダカグモを体長測定、ゴキブリの捕食シーンを撮影。

アシダカグモの寿命、10年以上生きる個体もいる

アシダカグモの平均寿命は、雄が3〜5年、雌が5〜7年ほどです。長生きする個体は10年以上生きるそうですよ。メスがオスより長生きなのは、人間と同じですね(笑)。

アシダカグモの愛称:軍曹(ぐんそう)

ゴキブリを捕食するのが得意なアシダカグモです。アシダカグモの分布をみるとゴキブリの分布域と重なることから、主食のゴキブリを追い掛けて生息域を拡大したとも考えられます。そして、住み着いた家屋の害虫(ゴキブリなど)を食べ尽くすと、次のお宅(戦場)へ赴くことから“軍曹”と呼ばれますよ(笑)。ゴキブリ駆除の任務を迅速に遂行する軍人さんに例えた愛称なのでしょう。ゴキブリが住み着いた家屋を戦場になぞって「軍曹(アシダカグモ)が駐屯する」との言い回しも親しみを込めたものですね(笑)。「アシダカグモが2〜3匹住み着いたお宅は、半年でゴキブリが全滅する」とも言われます。ゴキブリ壊滅に心強い軍曹を大歓迎です。

アシダカグモの生態【Wikipediaより抜粋】

Web検索して得られた情報を記します。アシダカグモの習性について大よそ分かると思います。

その大きさから毒グモと勘違いされることも多いが、人間に影響する強い毒は持たない。同じくゴキブリなどを捕食するムカデとは違い、人間に対しての咬害も起こらない。基本的に臆病で、人間が近寄ると素早く逃げようとする傾向が強く、近くの壁を叩くなどの振動にも敏感に反応する。ただし、素手で掴み上げるなどすると、防衛のため大きな牙で噛みつかれる場合がある。そのグロテスクな姿や、床や壁をガサガサと這い回る不気味さから忌み嫌われる場合も多く、薄暗い場所で遭遇すると、突然走り回るなど見る者に実物以上のインパクトを与えることがある。加えて、走るのが速く、捕まえるのは難しい。このことが輪をかけて嫌われる要因となっている。そのため、心理的に気分を害するとして不快害虫ともされる。

昆虫学者安富和男の著書『ゴキブリ3億年のひみつ』によると、アシダカグモが2・3匹いる家ではゴキブリは半年で全滅するという。人家内外に住むゴキブリやハエなどの衛生害虫や、小さなネズミなどを捕食してくれる益虫である。また、捕食中に他の獲物を見つけると、先の獲物をさし置いて新しい獲物を捕食しようとする習性があり、短時間に多数の害虫を捕らえる能力を持つ。一晩で20匹以上のゴキブリに噛みついたという観察記録もある。

アシダカグモを駆除する必要がある場合は、たまたま目に付いたアシダカグモ自体を殺虫剤などで殺しても、家に餌がある限りは何度でも侵入してくるため、アシダカグモの餌となるゴキブリなどの害虫を駆除した上で外に追い出すのがよい。餌となる生物がいないなどアシダカグモが住みにくい環境を保つことで、屋内に侵入するのを予防できる。孵化した子グモはしばらく卵嚢の周りの壁にたむろしているが、これを発見した家人が手を加えると、次の瞬間に子グモたちはそこら中へと走り出す。この状況が「蜘蛛の子を散らす」という慣用句の語源となっている。

アシダカグモは夜行性、7月から9月の日没後に良く現れる

アシダカグモは夜行性です。昼間は人目を避けるように薄暗い場所に身を隠してじっとしています。アシダカグモの隠れ家は、家具の裏や隙間、押し入れの中、洗濯機や冷蔵庫の裏など。戸袋や縁の下などもアシダカグモが好む隠れ家です。そして、夕暮れ後に活動を始めますよ。餌になるゴキブリを捕食するために隠れ家から外出します。気候が温暖な関東なら5月から10月頃までアシダカグモを目撃できますが、いちばん遭遇するのは7月から9月までの“夏季”です。夏季の日没後、19時から21時頃にアシダカグモとの遭遇確率が最大になるでしょう。

アシダカグモは屋内にも屋外(人家のまわり)にも生息しています。屋内なら主食のゴキブリがいる台所やトイレなどに現れることが多いです。屋外だと、ゴミ捨て場や野菜や穀物の倉庫に主食のゴキブリを捕食しようと現れます。つまり、アシダカグモが現れる場所は、“ゴキブリが出る場所”ですね(笑)。下記映像は、8月の日没後に屋外のアシダカグモを探索したときのものです。子蜘蛛から成体まで、10匹のアシダカグモを発見できました。生ゴミ置き場や倉庫の遭遇率が高かったですね。このビデオ映像が、アシダカグモを探すときの参考になるはずです。


YouTube動画“夏夜にアシダカグモを探索〜日本最大級の蜘蛛を探す〜”
次のURLです:https://youtu.be/XRfcviIjV0I
2017年8月、最大級のアシダカグモを探索して、10匹の軍曹に遭遇しました。

アシダカグモの雌が卵を抱えて守り、子蜘蛛は急成長する

アシダカグモは、雌が5月から10月頃に産卵をします。たくさんの卵を糸で包んだ“卵嚢”という袋状にしたものを、母蜘蛛が口で咥えて抱えるように持ち歩きますよ(写真5)。母蜘蛛は餌を食べずに卵が孵るまで卵嚢を守り続けます。卵が孵る直前に卵嚢を手放して、近くで母蜘蛛が孵化を見守るそうですよ。孵化後の子蜘蛛達は、卵嚢の周りに1週間ほど留まります。卵嚢から子蜘蛛達が旅立つとき、腹部から糸を出して風に任せて一斉に飛散します。この様子が「蜘蛛の子を散らす」の語源になったと言われていますね。

「メスは10回、オスは8回の脱皮を経て、約1年で成体サイズとなる」と言われるように、子蜘蛛は急成長します。我が家の定点観測でも急成長を確認できました。下記ビデオ映像に、アシダカグモの急成長を収めましたよ。生後すぐの1mmサイズの子蜘蛛は、たった2ヵ月間で3cmサイズになりました。1年で成体サイズということだと、あっという間に10cmくらいに成長するのでしょう。生き残りの生存競争に勝ち抜く必要もありますが、成体になったアシダカグモは害虫のゴキブリをたくさん捕食してくれるでしょう。期待したいですね。


YouTube動画“卵を抱えたアシダカグモの雌〜日本最大級の蜘蛛〜”
次のURLです:https://youtu.be/LXG-xRxFkXA
2016年6月、卵を抱える雌のアシダカグモに遭遇しました。


YouTube動画“アシダカグモが急成長〜子蜘蛛が大きくなった〜”
次のURLです:https://youtu.be/HPClE8_7I8U
2017年7月から9月までの定点撮影、あっという間に急成長したアシダカグモの子。

卵を抱えるアシダカグモの雌
(写真5、暖かくなる5月頃から10月にかけて卵を抱える雌のアシダカグモに遭遇)
生後3カ月で急成長したアシダカグモ
(写真6、卵から孵ったアシダカグモは、約2ヶ月間で足を伸ばして3cmほどに急成長)
アシダカグモの脱皮の抜け殻
(写真7、脱皮を繰り返して大きくなるアシダカグモの抜け殻)
本ぺージTop