にわとりの熱中症対策と予防

ゴールデンウィーク前後から飼い始めたヒヨコが大雛になる頃、日本列島は夏季を迎えます。 ニワトリには汗腺がなく、暑くても汗をかいて体温を下げられません。 「養鶏場で一度に何万羽が熱中症で命を落とした」とニュースが報じるほど、ニワトリは暑さに弱いのです。 冬季の寒さも過酷ですが、ニワトリには“夏季の暑さ対策”がより重要になりますよ。 鶏の熱中症を防ぐには“暑いサイン”を見逃してはいけません。 口を開いて「ハァハァ」と口呼吸をする。 翼を半開きにして脇の下を冷やす素振りをしたら暑さ対策を講じましょう。 文章だと分かり難いので、画像や映像を交えて解説をしていきます。

【にわとりの暑さ対策・熱中症予防】
1、鶏小屋を涼しい木陰や日陰に建てる。涼しくする工夫をする。
2、気温30度を超えたら鶏小屋の周囲とお気に入りの木陰に散水する。
3、キレイな冷たい水を日陰に用意する。
4、スイカやキュウリなどの体を冷やす野菜(果物)を与える。
5、配合飼料を涼しい時間に与える。高カロリーな穀物を減らす。


YouTubeに“ニワトリの暑さ対策【熱中症を予防】”動画をアップしました。
次のURLです:https://youtu.be/m3gqC2YdT64
夏季が苦手なニワトリさんが少しでも涼しく暮らせるように、熱中症予防の“暑さ対策”をしましょう。

ニワトリの暑さ対策、理想的な飼育環境
(図1、夏季の暑さ対策に、理想的な飼育環境を描いてみました) ニワトリの暑さ対策、風通しのよい飼育小屋
(写真1、夏季の暑さ対策に、鶏小屋の風通しを良くする工夫が大事) 鶏小屋に適切な日陰を作る
(写真2、夏季の暑さ対策に、鶏小屋に適切な日陰を作って涼しくする) 日陰も大事ですが、日光浴の陽射しも大事です
(写真3、暑い夏季に日陰作りが大事ですが、日光浴の陽射しも作りましょう)

1、夏季の鶏小屋が涼しくなるように工夫をする

夏季のニワトリの暑さ対策・熱中症対策の基本は、鶏小屋を涼しい場所に建てることです。 落葉樹が南側になるように鶏小屋を建てると、夏季の強烈な陽射しを遮れますよ(図1)。 冬季に葉を落とす落葉樹は、寒い季節になると鶏小屋の日当たりが良くなるから勧めですよ。 夏は木陰で涼しく、寒い冬には陽射しが当たってポカポカになります! あとから植えても樹木の成長には時間が掛かるから、鶏小屋を作る段階から日陰や木陰になるように場所を考えましょう。 日陰に鶏小屋を作るのは、次にお話をする“散水”の効果を持続させるのにも有利ですよ。

夏季に鶏小屋の風通しを良くする工夫も大事です。 写真1は、私が製作した鶏小屋です。 開閉、もしくは取り外しできる“雨戸”を付けることで、夏季には開放して風通しを良くできますよ。 鶏小屋に熱気がこもり難いから、涼しくなって熱中症対策として有効です。 寒い冬季には、北風が入り込まないように雨戸を閉めてしまえば寒さ対策にも有効ですね。

鶏小屋を涼しくする方法として、ヨシズを張るのも有効です。 写真2は、中雛と大雛を飼育していたケージです。 夏季の強烈な陽射しを遮るために屋根や側面にヨシズを被せました。 外を自由に歩き回れないケージ飼育の場合、日光浴のための陽射しがニワトリの健康に欠かせません。 暑さ対策には反しますが、とても大事なことです。 全てを日陰にするのではなく、1日に2〜3時間だけケージ内の半分くらいに陽射しが入るようにしましょう(写真3)。 暑い夏季には、間違えると熱中症にさせてしまうから陽射しと日陰の調整が難しいかも知れません。 しかし、ニワトリの健康のためには陽射しも必要です。

ニワトリの暑さ対策、お気に入りの木陰に散水
(写真4、ニワトリがお気に入りの木陰に水溜りが出来るくらいにたっぷり散水しましょう) ニワトリは冷たく湿った木陰で涼みます
(写真5、たくさんの散水で湿ってヒンヤリした木陰に座って涼むニワトリ達)

2、鶏小屋の周囲とお気に入りの木陰に散水する

夏季のニワトリの暑さ対策・熱中症対策は“飼育環境を涼しくすること”に尽きます。 鶏小屋を日陰や建てても、気温30度を超えたなら、ニワトリは暑がる素振りを始めます。 そのような場合、鶏小屋周辺への散水が暑さ対策に効果的ですよ。 水溜りができるくらい、たくさん散水をしましょう。 飼育スぺースが広くニワトリ達が自由に歩き回れる環境なら、お気に入りの木陰への散水をお勧めします(写真4)。 散水を終えた木蔭へコッコ達が集まり、「地面が冷たくて気持ちいい!」と涼み始めるでしょう(写真5)。

暑さ対策ではありませんが、ニワトリは湿った地面で砂浴びをするのが好きです。 散水は、砂浴びをやれる環境を整えることにもなり、ニワトリがダニや体の汚れを落とせるから健康を保てるでしょう。

暑さ対策に散水する場所は、日陰が効果的です。 日向に散水をしても、真夏の強い陽射しにあっという間に蒸発してしまいます。 たくさんの水を撒いても1〜2時間で乾燥してしまうでしょう(苦笑)。 それでも散水しないよりは良いのですが、日陰に作った鶏小屋周辺なら、散水が長く地面を湿らせて涼しさを持続させます。 半日か丸1日間、涼しさを持続できるでしょう。 お気に入りの木陰への散水も、同じく涼しさを持続できるはず。 仕事や学校などで昼間に不在の方は、出勤前や夜間に散水をすればニワトリの暑さ対策になりますよ。 下記に表示した“ニワトリの暑さ対策の散水動画”のように、たくさんの水を撒きましょう。

私の場合、ニワトリがお気に入りのよく涼んでいる木陰に、13リットル入るバケツで4〜5杯を散水します(1ヶ所の木陰だけに撒く水量)。 満水だと13リットルですが、8割くらいに汲むから概ね1杯当たり10リットル、合計40〜50リットルの散水ですね。 窪んだ場所なら30分から1時間くらい水溜りになっていて、そのあと丸1日間はヒンヤリと湿っていますよ。


YouTubeに“鶏の暑さ対策・散水〜鶏小屋周辺、木陰に水撒き”動画をアップしました。
次のURLです:https://youtu.be/3r0lZ8tJp_I
夏季が苦手なニワトリさんが少しでも涼しくなるよう、熱中症予防の“散水”をしましょう。

ニワトリの暑さ対策、冷たくキレイな水を用意
(写真6、ニワトリがいつでも飲めるように、冷たくキレイな水をたくさん用意しましょう)

3、キレイな冷たい水を日陰に用意する

夏季のニワトリの暑さ対策・熱中症対策として“冷たい水”を飲ませましょう。 人間もそうですが、暑くなると動物は冷たい水を飲んで体を冷やそうとします。 ニワトリも同じですから、綺麗な冷たい水をいつでも飲めるようにしておくと良いです。 水が汚れやすい夏季には、毎日でも容器を清掃して水を入れ替えるべきです。 そして、水入れ(容器)を日陰に置けば、強い陽射しに熱水にならずに済みますよ。 もし水が熱水になってしまったら、すぐに冷たい水に入れ替えてあげましょう。

ニワトリの暑さ対策、カリウム豊富なスイカ
(写真7、夏季には体を冷やす野菜や果物、例えば“スイカ”を食べさせると良い) ニワトリの暑さ対策、カリウム豊富なキュウリ
(写真8、スイカと同じく“カリウム”が豊富なキュウリは、夏季に体を冷やす野菜)

4、スイカやキュウリなどの体を冷やす野菜(果物)を食べさせる

夏季のニワトリの暑さ対策・熱中症対策として“体を冷やす効果”のあるスイカやキュウリを食べさせましょう。 利尿作用のあるカリウムを多く含むから、たくさん飲んだ水と一緒に、どんどん熱を尿として体外に排出できる野菜・果物です。 優秀な“体を冷やす食べ物”ですね! 利尿効果から、水便を多く排泄しますが、暑さで水をたくさん飲んだ時のものは下痢とは異なり問題がありません。 人間の食べ残しでも良いので、暑い時間帯にご馳走しましょう(写真7)。 コッコの暑さ対策を解説していますが、人間へも体を冷やす野菜として効果がありますよ。 ニワトリに限らず、夏季にスイカを食べる習慣は科学的根拠があります!

カロリーが高い配合飼料や穀物は涼しい時間に与える
(写真9、暑さに配合飼料を残すニワトリは、食べると体を熱くすることを知っている)

5、配合飼料を涼しい時間に与え、高カロリーな穀物を減らす

我が家のニワトリには、市販の配合飼料のほか、クズ米(規格外の玄米)を混ぜて与えています。 暑い夏季になると、これらを食べ残すようになりますよ。 自主的にニワトリ達が高カロリーな炭水化物を含む食べ物を避けているのが理由です。 夏季には高カロリー食品が暑さを助長します(苦笑)。 私たち人間も知ってのとおり、ご飯や麺類、パンを食べると体が熱くなりますよね? 鶏達もそのことを知っていて、夏季になると玄米や配合飼料に含まれるトウモロコシ、その他の穀物を、体が熱くならないように避けるようになります。

夏季のニワトリの暑さ対策・熱中症対策として意外なことは“配合飼料や穀物”を調整することです。 体が内部から熱くなってしまうから、暑い夏季には玄米や穀物の割合を少なくしましょう。 代わりに大根葉やキュウリ、小松菜などの野菜を増やすといいです。 寒い冬季には、(夏季とは反対に)体が内部から温かくなるように穀物を多くしてやると健康に冬を越せるでしょう。 

穀物を含む配合飼料を、涼しい時間帯に与えるのも暑さ対策に効果的です。 朝や夕方などの涼しい時間帯なら、カロリーの高い飼料を食べても体は熱くならないでしょう。 昼間には控え目に、涼しい朝や夕方にガッツリと食べさせることでニワトリの暑さ対策になります。

6、愛知県 中央家畜保健衛生所の暑さ対策のアナウンス(2010年7月/全文)

http://www.pref.aichi.jp/0000033993.html

7月20日、秋田県を除く46都道府県で最高気温が30度以上の真夏日となりました。 近年では、3年前の平成19年8月に記録的な猛暑となり、管内の養鶏農家においても多くの熱中症被害がありました。 急に暑くなると、鶏は暑熱ダメージを受けやすく、特に、老鶏、産卵ピーク中の鶏群は影響が大きいので注意が必要です。

なお、死亡羽数の著しい増加、鶏群に明らかな異常が発生した場合は、家畜保健衛生所へ報告していただくと共に、鶏の死体は適正な処理をお願いいたします(化製場法第8条の準用規定による施設(化製場等)もしくは産業廃棄物処理業者に処理を委託する必要があります)。

暑熱対策のポイント
@ 鶏舎内、鶏体の温度を下げる
・換気、送風の実施と飼育密度を下げる
・寒冷紗を使う
・屋根に消石灰と白色セメントの混合液を吹き付けて白色に
・入気口の噴霧冷却(ウインドウレス鶏舎)、鶏舎周囲の噴霧冷却(開放鶏舎)

A充分な飲水量を
・冷水の給与:水樋、ピックいずれの場合も、充分に冷水が飲めるように
(ピックの場合、金属部分が熱をもち、熱湯になった場合は、水樋に冷たい水を流す)
・熱性多呼吸(パンティング)の徴候がひどい場合には、呼吸性アルカローシスの対応として重曹や塩化カリウム等を投与する(飼料添加・飲水投与:0.2〜0.7%程度)

B体内の熱産生量を下げる
・飼料摂取時間の制限・変更、昼間の絶食:8〜13時までもしくは9〜17時まで給餌を停止することで、飼料摂取による体内発熱増加と舎内温度上昇が重ならないようにする

C熱中症で死にかけていたら
・熱中症で死にかけている鶏にはすぐに水を飲ませずに、ホースで水をかけるか、水を汲んだバケツに入れて体を冷やす

Dその他
機械類も暑さによりオーバーヒートを起こし、故障することがあります。
日頃から機械の動作状況に気を付け、定期的なメンテナンスを。(週末やお盆など休日前は要点検!)

ニワトリの熱中症【実例集】

コッコ仲間から掲示板やメールで頂いた“鶏の熱中症”についての情報です。 獣医さんから聞いたお話しや、飼っているニワトリが熱中症になった時の状況、処置内容を下記リンク先ページにまとめました。 当事者の実体験ですので参考になるはずです。

ニワトリ仲間から寄せられた熱中症への対処実例集

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