冬季のニワトリ飼育・寒さ対策【東京近郊】

南関東にある“こーちんの庭”のニワトリ達は、一年を通じてずっと放し飼いです。寒い冬季にも庭を自由に歩き回っています。降雪は、ひと冬に数回ほど。多くの場合、積雪は3cm未満です。冬季の最低気温は0度前後、最も寒い1月や2月に氷点下3度や4度になることが1年に数回あるくらい。氷点下10度を下回るような極寒地や数十cm積る豪雪地だと参考にならないかも知れませんが、東京近郊なら同じように飼育して問題はないでしょう。

ニワトリは5歳を過ぎたら“お年寄り”と考えていいです。若くて健康なニワトリと違い、冬季の飼育環境に配慮が必要になります。人間の若者とお年寄りが違うのと同じですね。そして、若くても体調不良のニワトリは、屋内で保温するなどの配慮が必要になるでしょう。お年寄りや病気のニワトリについては、“病気や年をとった鶏の保温に段ボールハウス”を参考にして頂くといいです。お年寄りでも健康で元気なニワトリもいます。食欲があって元気に歩き回っているのなら、ダンボールハウスの必要はありません。ただし、元気な場合でもお年寄りコッコの不調に対処できるよう注意深く見守って下さい。急に具合が悪くなるのは、人間のお年寄りに限らずコッコも同じです。

若くて元気なニワトリなら氷点下数度の気温に耐えられます。スズメやムクドリ、カモやサギなどの野鳥が同じ環境で問題なく生活できていますから、同じようにフサフサの羽毛を持つニワトリ達も問題ないでしょう。しかしながら、就寝中の夜間に直接吹きつける冷たい風に注意しましょう。風が吹き込まない暖かい屋内なら完璧ですが、それができないのなら鶏小屋に“雨戸”を付けるといいです。夜間、寝ているニワトリに冷たい風が当たらないように、鶏小屋の周りをビニールトタンや板で囲いましょう。屋内で寝せてやれない我が家の場合、下記映像のように開閉できる雨戸を鶏小屋に装備して対処をします。冬季の寒さのほか、夏季の台風対策としても雨戸は有効ですよ。


YouTube動画“鶏小屋の寒さ対策〜冬季、吹き込む冷たい風を雨戸で防ぐ〜”
次のURLです:https://youtu.be/prtvVb09FlA
鶏小屋の冬季の寒さ対策、開閉できる雨戸は夏季の台風対策にも有効

夏季と寒さ対策をした冬季の鶏小屋

冬季の鶏小屋に“風対策”をする

写真を見て頂くと鶏小屋の“雨戸”について、一目瞭然でしょう。冬の冷たい風、台風の暴風雨に開閉してニワトリ達を守るのが雨戸の役目です。暑い夏季に開放すると風通しが良くなるから、ニワトリの熱中症対策にも有効でしょう。鶏小屋を製作する初期段階から雨戸の実装を考えておきましょう。屋外飼育を前提に鶏小屋を購入するのなら、風雨に耐えられる頑丈さのほか、雨戸を開閉できるかがポイントになります。Web販売される既製品には選択肢が余りないのかも知れませんが、暴風雨や冬季の夜間に雨戸を閉めきれることは大きな利点です。

冬季の屋外飼育は、とにかく“風”を防いでやることです。夜になれば、ニワトリは鶏小屋で寝ます。夜間、小屋へ吹き込む冷たい風を雨戸で防いでやればいいでしょう。保温器具を使わずとも、体に直接吹きつける風を防ぐだけで大きな違いです。同じ気温でも体感温度はグンと暖かくなるはず。昼間、冷たい強風が吹いているのなら、ニワトリは自分の意思で木陰に隠れます。“こーちんの庭”は、12月から3月くらいまでの期間、昼間に強く冷たい北西風が吹く地域です。偏西風といわれる季節風ですね。不思議なことに夕方に弱まり、翌朝10時頃から再び吹くことが多いですよ。北西風が強く吹いている時間帯、放し飼いのニワトリ達は木陰にじっと隠れて強風をしのぎます。ニワトリは、季節に関わりなく強風嫌いです。昼間でもニワトリ達が強風から身を守れる環境を作ってやりましょう。

夜間の就寝中のニワトリに、雨戸を閉めたり、鶏小屋をぐるっと塩ビのトタンや板で囲ってしまえばいいのですが、昼間だと一概に「それで良い」といえません。鶏にとって必要不可欠な日光浴ができるように、鶏小屋の中に陽が射す工夫が必要です。放し飼いなら、ニワトリは自由に歩き回れるから心配要りません。強風を避けて木陰に隠れたり、陽を浴びたければ木陰から出てきます。24時間ずっと鶏小屋飼育のケースは、冷たい風が吹き込まない場所(南側など)を昼間に開ければいいでしょう。自分の意思で小屋から出られないニワトリのために、適度に陽を浴びられる環境を作りましょう。下記は、ニワトリの冬季・屋外飼育についての注意点です。

1.若く健康なニワトリに限り、最低気温が氷点下数度になっても屋外飼育できる
2.夜間、ニワトリが就寝中の鶏小屋へ吹き込む冷たい風を雨戸などで防いでやる
3.昼間、放し飼いの場合、冷たい風から隠れられる場所(木陰など)を作ってやる
4.昼間、鶏小屋飼育の場合、日光浴のために風が吹き込まない場所を開けてやる
5.悪天候(雪や雨)の時、風を防いで雨宿りできる場所(軒下)があればよい
6.お年寄りや病気のニワトリを屋内飼育で保温する

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寒い冬季、鶏小屋の雨戸を閉める
(寒い冬季、冷たい風が吹き込まないように鶏小屋の雨戸を閉めるといい)
開閉できる雨戸は台風対策にもなる
(鶏小屋の雨戸は、冬季の寒さ対策のほかに夏季の台風にも対処できる)
暖かく晴れた昼に雨戸を開けよう
(日光浴のため、寒い冬季でも晴れて暖かい昼間に雨戸を開けましょう)

台風や冬季の防寒に、鶏小屋の雨戸が有効

すきま風がない鶏小屋なら素晴らしく理想的です。しかしながら、すき間から漏れる程度なら問題はないでしょう。冬季の野鳥は、樹木に作った巣で寒さをしのぎます。もちろん冷たい強風が直接吹き付ける場所に巣を作らないでしょうが、それでも建て付けが少し悪い鶏小屋よりもスースーするはず。水鳥に至っては、冷たい冬季の湖沼や川に浮かんで寝る姿を見かけます。強風に晒されながら、足が凍て付く水に浸かっていますよ。そんな過酷な環境の野鳥たちと比べ、遜色ないフサフサの羽毛を持つニワトリには、鶏小屋の窓を塞ぎ、直接吹きつける風を防いでやれば大丈夫だと思っています。

画像は、我が家の鶏小屋です。夏季の台風、冬季の冷たい風に鶏小屋の雨戸を閉めます。24時間ずっとニワトリに入居してもらう小屋ですから、気象の変化に小まめに雨戸を開閉できるように製作しました。寒い冬季、夜になると全ての雨戸を閉めきります。翌朝、陽を入れるために、東側(前面)と南側の雨戸を開けますよ。冬季の風は、北西や北からが主です。通常、冷たい風は南側や東側から吹き込みません。小まめに雨戸を開閉できる鶏小屋だと使い勝手が良いでしょう。

厚い氷が張る屋外で遊ぶニワトリ
(ふわふわの羽毛のニワトリ達は、水飲み場に厚い氷が張る屋外で元気に遊ぶ)
霜柱が立つ庭を歩くニワトリ
(1月や2月になると毎日のように立つ霜柱を水分補給に食べるニワトリ)
ニワトリは霜柱を避けて歩く
(ニワトリ達を観察していると、霜柱をうまく避けて歩きます)
ニワトリは冬季でも木陰が好き
(陽を浴びて日光浴をするものの、木陰が好きで座り込む冬季のニワトリ達)
ニワトリは冬季でも木陰が好き
(風がなく穏やかな日、強い陽射しに日光浴をするニワトリ達)
ニワトリは冬季でも木陰が好き
(南関東の寒さでも雄鶏の大きな鶏冠が血行不良になり“霜焼け”ができる)

冬季の庭で放し飼いのニワトリ

野鳥が問題なく冬季を過ごすように、ニワトリもふわふわの羽毛のお陰で問題なく過ごせます。冒頭に紹介した、稀に氷点下3度や4度になる南関東のニワトリ(名古屋コーチン)達です。上記画像のように冬季に屋外で過ごしますよ。

夜間、いままで解説をしてきたとおりに雨戸を閉めた鶏小屋で就寝します。そして、放し飼いのニワトリですから、冬季の早朝、日の出とともに庭に出ますよ。午前6時ころでしょうか?最低気温を記録する時間帯に庭に出たニワトリ達は、カチンコチンに凍った水飲みに困惑しているかも知れません(苦笑)。私が起床すれば氷を割って飲める状態にしますが、それまでは我慢ですね。給水が大切な夏季ではないから、1時間くらい待ってもらっても大丈夫でしょう。どうしても水を飲みたいとき、庭の霜柱を突いているかも知れません。雪を突いて食べる鶏達ですから、必要なら水分補給に霜柱も食べます(写真)。「サクサク」した“かき氷”に似た食感が美味しいのか、好物にする子もいますよ(笑)。

冬季、連日のように庭に霜柱が立ちます。野鳥が大丈夫なのように、素足の鶏達も氷点下の地面を歩きます。しかしながら、霜柱があからさまに立っている場所を避けます。「冷たい」「霜焼けになる!」という感覚があるのか否かを知りませんが、広範囲に霜柱がある場所を迂回する鶏達です。ちなみに、鶏の足は霜焼けにならないようです。代わりに雄鶏の大きな鶏冠の先っちょに霜焼けができますよ。体幹から離れている鶏冠は、血行が悪くなって霜焼けに罹りやすのでしょう。人の耳にできる霜焼けと同じですね(笑)。南関東の我が家では、冬季の終わり、2月から3月頃に霜焼けになることが多いです。霜焼けになった雄鶏は、痒くて足の爪で鶏冠を引っかいて出血することもあります。なかなか治らず、カサブタの状態が続きますよ。根気よく、オロナイン軟膏を朝と夜に塗って治療をすると良いでしょう。

ニワトリの不思議行動の1つに“日陰好き”があります。暑い夏季なら、涼しい日陰を好むことに不思議はありません。しかし、暖かい陽射しが恋しくなる冬季でも木陰に籠ることが多いです。冬季のよく晴れた日、北西風がより強く吹きます。木陰で休むのは、冷たい風を避ける意味もあるのでしょう。しかしながら、無風の暖かい陽気でも、木陰に座り込むニワトリが多いのはやっぱり不思議ですね(笑)。人間の感覚なら「寒い冬季、陽が射して暖かい場所で日光浴すればいいのに・・・」と思うのだけど、霜柱の立つ木陰に座る姿に「なぜ?」と首を傾げてしまいます。そんな鶏達も、やる時には、ちゃんと日光浴をします。1時間くらい、枯れた芝生に寝転がって翼を広げる姿を見掛けますよ。そして、十分に羽毛を虫干ししたあと、再び木陰に入る我が家のニワトリ達でした。

下記は、“こーちんの庭”が1年で最も冷え込んだときの映像です。早朝に氷点下3度か4度くらいまで冷え込みました。水飲みに厚さ3cmもの氷が張ったのは、南関東だと珍事ですね。日陰に捨てたその氷は終日溶けずに残っていました。昼間の最高気温は、晴れたにもかかわらず4度ほどでした。この寒波に、4歳を目前にした雌鶏さんが体調を崩しました。もともと卵秘で病弱になっていた子でした。YouTube映像で公開済みですが、保温のために屋内段ボールハウスで療養させましたよ。前年冬季にお年寄りコッコが体調を崩しています。若くて健康なニワトリ達は、寒波を無事に乗り切りました。映像のように寒波が襲来した庭を元気よく歩き回っています。


YouTube動画“大寒波の分厚い氷と鶏さん〜2018年1月26日の南関東、放し飼い鶏〜”
次のURLです:https://youtu.be/-qondiClAH0
寒波が襲来した朝、稀にみる厚さ3cmの分厚い氷とコッコ達の様子


YouTube動画“大寒波のニワトリさん1〜氷点下で分厚い氷〜”
次のURLです:https://youtu.be/BucepHpCkgU
寒波が襲来した日、元気に庭を闊歩するニワトリ達


YouTube動画“霜焼けのニワトリ〜黒くなった鶏冠をオロナイン軟膏で処置〜”
次のURLです:https://youtu.be/a8aCgRTX_L0
冬季に鶏冠の先にできた霜焼けをオロナイン軟膏で治療したときの映像


YouTube動画“珍しい雌鶏の霜焼け〜鶏冠のしもやけをオロナイン軟膏で治療〜”
次のURLです:https://youtu.be/L2ugrwYTGIo
低気温「-4.1度」を記録する寒さに雌鶏さんの鶏冠が霜焼けになるという珍事です(2022年)。

ニワトリの寿命と寒さの関係

私は、関係性があると思っています。人間でも寒冷地の寿命が低く、男女とも青森県が最も短命だという統計がありますよ。それによると、長寿の都道府県に比べ、青森の男性は3年半、女性が2年の短命になっています。人の寿命の場合、寒さが影響しているほか、濃い味付け(塩分摂取)や飲酒の習慣も関わっているのでしょう。同じように“寒さ”と“ニワトリの寿命”には関係性があると考えます。冷暖房を使わない屋外飼育のニワトリは、人の統計(青森の人は屋内で暖房を使う)よりも“気候の影響”がより大きく出ると思います。

「東京近郊の南関東なら、夜間、鶏小屋に冷たい風が吹きこまない対策をすれば屋外飼育できる」という趣旨で本ページを作成しました。しかしながら、ニワトリを長生きさせたいのなら、気温20度くらいの環境を用意すべきかも知れません。寒い冬季の屋内飼育は、確実にニワトリの長寿に有利になると考えます。屋外飼育の我が家の名古屋コーチンは、平均寿命が5歳半くらいです。もし夏季の暑さと冬季の寒さを緩和して、常に気温20度くらいにしてやれたのなら、2年くらい寿命を増やしてやれるかも知れません。雌鶏さんの場合、4歳くらいに産卵のトラブルが増えます。この婦人病も寿命を縮める大きな要因ですので一概に言えませんが、気候はニワトリの寿命に大きく関わっていると考えています。

そのいっぽうで、“ニワトリの寿命と寒さの関係”を、それほど気にしなくても良いかも知れません。青森のほか、秋田や岩手、栃木などの寿命が短いと統計が示した地域の人が、長寿県の沖縄(女性)や長野(男性)へ直ぐに移住しないのと同じです。確実に関係があるものの、ただちに亡くなってしまうわけでもありません。この話題について完璧な環境を求めればキリがなく、「どの程度まで良い環境を用意してあげられるのか?」と冷静に考えるといいのでしょう。1羽なら後述の段ボールハウス(保温器具使用)も良いですが、複数羽だと現実的ではありません。夜間に寝ている鶏小屋への“風を防ぐ対策”が現実的ですね。

ニワトリが亡くなりやすいのは春秋(2021年9月調査)

我が家で放し飼いにする名古屋コーチンは、春と秋に旅立つことが多いです。鶏泥棒被害に遭った夕顔のようなケースを除く21羽について調べたところ、4月と5月に亡くなった子は7羽(33パーセント)、9月と10月に亡くなった子が6羽(29パーセント)でした。春と秋の4ヶ月間に旅立った子は、合わせて13羽、全体の62パーセントです。

過半数の子が4ヶ月間に集中して亡くなっています。寒さや暑さが厳しい季節を乗り越えて、過ごしやすい季節に替わるときに疲れ(ダメージ)が遅れて現れるのかも知れません。直近だと、ぴよ助父さんが4月、ぴよ菜母さんが9月に亡くなっています。2歳で急逝したカエデは5月でした。本年に旅立った雌鶏のモミジは、あと4日で4月になる3月末に亡くなっています。モミジを4月に含めると、“4月・5月・9月・10月”の死亡率は67パーセント、全体の2/3にも達しますよ。コッコ達の死亡と季節との間に、密接な関係があるのでしょう。

私の仮説「寒さや暑さで受けた身体的ダメージが少し遅れて現れて命を奪う」というのが正しいのかを知りません。しかしながら、亡くなった21羽を調べてみると、春と秋に集中しているのは事実です。寿命を迎えて弱ってきたコッコや、病気がちの子、体調を崩している子がいるならば注意しましょう。コッコ達が亡くなりやすい季節の変わり目、春と秋の合計4ヶ月間を乗り切れるように手厚いお世話をすると良いです。

【寒さ対策】お年寄りや体調不良のニワトリを段ボールハウスで保温

若くて元気なニワトリなら、冬季の屋外飼育もできます。しかしながら、高齢や若くても体調を崩したニワトリに配慮をしなければなりません。冬季には、下記ぺージを参考に段ボールハウスと保温器具を使いましょう。

病気や年をとった鶏の保温に段ボールハウス

【雪対策】若くて健康な冬季のニワトリは、“雪宿り”する

若くて元気なニワトリなら、冬季の屋外飼育もできます。東京近郊に降る数cmの積雪なら問題ないでしょう。雨天に雨宿りするのと同じ場所で“雪宿り”させれば良いです。南関東にある“こーちんの庭”の積雪とニワトリ達の様子を解説します。

冬季のニワトリ飼育、積雪対策

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