趾瘤症(しりゅうしょう)とは?

“バンブルフット”とも呼ばれる鳥類にできる足の病気です。 立ったとき、歩いているときに体重が加わる足の裏や、座った時に地面に付く膝に瘤(コブ)ができて内部の炎症が進行していく病気です。

内部の炎症は、深く骨まで達することもあります。 症状の進行は、数ヵ月単位で進みますよ。 瘤(コブ)ができて、ニワトリが痛がるようになり、適切な治療を施さないと半年か1年で歩けなくなることもあります。 Webを調べると、インコなどの小鳥でも患うことがあるそうですが、体が重いニワトリやアヒルの方が負荷が掛かって(痛みから)歩行困難になりやすいから深刻です。

我が家で飼育したニワトリは、体重の重い雄鶏だけが患いました。 4羽の雄鶏のうち2羽が患ったので、罹患率は50%です(2014年現在)。 発症は、成長して体重が最も重くなる2歳を過ぎたあとでした。 人間で例えると“成人病”に似た病気だと思います。 因みに、約10羽飼育した雌鶏には罹患する子はいませんでした。

我が家に限ったことかも知れませんが、高温な夏季に悪化しました。 気温が低い冬季には、炎症が治まるようです。 冬季には、瘤(コブ)が小さくなって開いた傷口が塞がる傾向がありました。 夏季に足の痛みから寝込んでいた子が、冬季に歩けるようになったことがありましたよ。 しかし春を過ぎ、ゴールデンウィークの頃からコブが大きくなり、再び炎症が悪化してしまいます。

雄鶏の足裏にできたバンブルフット趾瘤症
(ぴよ太の足裏にできたバンブルフット 2011年10月4日)
雄鶏の足の甲にできたバンブルフット趾瘤症
(足裏治療の結果、バンブルフットが足の甲に移動したぴよ太 2013年4月14日)
雄鶏の膝にできたバンブルフット趾瘤症
(長男コーチンの膝にできたバンブルフット 2008年9月24日)

バンブルフットの初期症状

症状が軽い場合、人間の“魚の目”や足の裏にできる“タコ”、“マメ”に似ています。 患部は赤く見えたり、皮膚が硬くなっています。 この段階では普通に歩くことはできますが、ときどき痛い素振りを見せて、走った時に片足を引きずるようなこともあります。

外見や歩き方から解らなくても、軽い症状の子は多いかも知れませんね。 日常生活を問題なく送っていた我が家の雌鶏さんにも、もしかしたら“ごく軽い症状の子”が居たのかも知れません。

バンブルフットの中期症状

症状が進むと患部が開いて、内部の膿が傷口から滲んで出てくるようになります。 常時カサブタのようになっていて、内部から押し出された膿が少しずつ外へ出てくる感じですね。 無理に膿を取ろうとすると、出血をしてしまうので要注意です。 この状態になると、大きな瘤(コブ)ができるから、外見から簡単に解りますよ。 そして瘤の中は、炎症が広がって“膿溜まり”になっています。 地面に足を着いて歩くのが辛くなり、患った足を庇って、常時、引きずるような歩き方になります。 片足を庇う動作から正常な足への負荷が増して、新しく趾瘤症(しりゅうしょう)を患うこともあります。

足にできたバンブルフット趾瘤症から出た膿
(患部から押し出された膿の塊は、1週間から2週間ごとにポロポロと落ちます)

バンブルフットの後期症状

内部の炎症が骨にまで達し、関節などを溶かし変形させるまでになると、歩行が困難になります。 寝たきりになり、介護が必要になってしまいますよ。 そして砂浴びができない事により、衛生的な問題も起こります。 ウンチでお尻が汚れることと、トリサシダニのような寄生虫が付きやすくなることが厄介です。 患った本人にとっても、飼い主にとっても介護は大変です。

バンブルフット発症の原因

多くの場合、足の一部に体重の負担がかかり、そこに炎症を起こすことで発症します。 あるいは、足裏にできた怪我から細菌が入り炎症を起こしてバンブルフットになることもあります。 「堅いコンクリートの床、止まり木が不適切な場合に発症する」といわれていますが、柔らかい地面や芝生の多い我が家でも発症しているから、(私には)因果関係が良く解りません。 我が家の場合では、体重のある2歳を越えた雄鶏にだけ発症しました。 そのことから、“体重が重い”こととバンブルフット発症には、因果関係があると思っています。

バンブルフットの治療

初期の段階で手当てをしてあげたいものです。 中期に進んだ症状への治療は、切開手術が必要な場合もあるからです。 そして、その技術を持った獣医さんが少なく、切開手術自体が腱や間接を傷付けて“歩行困難”を引き起こす危険があります。 患部の場所によっては、足の壊死が起こり切断しなければならないケースもあるから怖いです。 そのような理由で、多くの場合、消炎剤と抗生物質を服用し様子をみる治療になります(温存療法)。 患部の炎症には、患部への薬剤注射も効果があるようです。

なお初期や中期の場合には、環境の改善と包帯などで患部に負荷がかからないようにしてあげましょう。 症状を直ぐに完治させられなくても、進行を遅らせること、少しずつ治すことはできますよ。

環境改善
ニワトリが歩く場所、高所から飛び降りる場所にマットや人工芝を敷いて足への負担を和らげてあげましょう。 中期以降で患部が開いている場合には、雑菌が入らないように衛生的にも綺麗にした方がいいです。

切開手術
海外サイトですが、“バンブルフットの切開手術”の情報を簡易翻訳してPDF保存してみました。 バンブルフットを患った雌鶏さんへの手術です。 私はこの様な手術を施せませんが、バンブルフットの患部内部が解るよい資料だと思います。 5ぺージ目には包帯を巻き終えた写真が掲載されているので、参考になりますね。 ちなみに私は、下記写真のようにTシャツを切って1本の50cmくらいの長い包帯を作って巻きました。

Bumblefoot - How To Treat Your Chickens With Surgery
(バンブルフット - あなたの鶏への外科手術の方法)

バンブルフット患部に包帯を巻くと痛みが和らぐ
(足を痛がるようなら、クッション代わりに“包帯”を患部に巻くと良い)


YouTube動画“雄鶏のバンブルフット〜オロナイン軟膏と包帯で足裏を治療〜”
次のURLです:https://youtu.be/4ZSHuPa44M4
毎日、オロナイン軟膏と包帯を交換して初期のバンブルフットを治療します。

我が家の鶏のバンブルフット

2002年〜2014年の間、雄鶏2羽が趾瘤症(しりゅうしょう)になりました。 3兄弟の長男コーチン(2代目リーダー)と、3代目リーダーのぴよ太が患いましたよ。 長男コーチンの体重は約4.2Kg、ぴよ太が約4Kgでした。 患った2羽は、一般のニワトリでは重い部類だと思うけど、我が家の5Kg近くになる雄鶏の中では比較的軽量でした。 それでもバンブルフットを罹患しない(我が家の)雌鶏さんが、3.5Kg以下で平均体重3Kgだったことと比べると、やはり“重い”といえますね。

長男コーチン
膝の少し上に趾瘤症(しりゅうしょう)を患いました。 我が家で初めての発症で、今思うと“治療が遅れたこと”が悔やまれます。 症状が進行し膝関節が動かなくなって、亡くなる1年前から寝たきりになってしまいました。

ぴよ太
2歳になる少し前に、左足裏にバンブルフットを見付けました。 4歳の若さで亡くなりましたが、早めの治療によって夏季以外では普通に歩けて走ることもできました。 投薬治療と患部への注射によって、地面と接する足裏のバンブルフットは殆ど完治しました。 その際、逃げ場を失った膿は、足の甲へせり出して新しい患部を作りましたが、泥水などが入る足裏に比べれば衛生的には良いですね。 注射処置以外では、バイトリルという抗菌剤服用と患部への塗り薬(シルビナ)を処方して貰いました(副作用軽減のための整腸剤も)。

【通院しないで治療する場合】
バンブルフットが進行しているなら、ペット病院の受診をお勧めします。 軽い症状には、患部に“オロナイン軟膏”(人間向けの薬)を塗り、シャツなどを帯状に切った包帯を巻いてあげて様子を見てあげましょう。 因みに、オロナイン軟膏は昔からある切り傷、虫さされ、霜焼け、火傷・・・の塗り薬ですよ。 近所のドラッグストアで簡単に入手できるはずです。 効果がなかったり症状が悪くなるようならペット病院の受診が必要です。

【ごく初期には】
人間にもできる“タコ”や“魚の目”のように足裏の一部の皮膚が硬くなっている場合。 放置すると本格的なバンブルフットになってしまうかも知れません。 そんな時に役立つのは、人間の肌をケアする“ワセリン”です。 寝る前などに硬くなった皮膚にワセリンを塗り込むことで柔らかくなり、バンブルフットを予防できますよ。

雄鶏の足裏にできたバンブルフット趾瘤症
(ぴよ太の足裏にできたバンブルフット 2011年10月4日)
雄鶏の足のバンブルフット趾瘤症が改善
(ぴよ太の足裏にできたバンブルフットは治療によって改善 2013年3月24日)
雄鶏のバンブルフット趾瘤症に消炎剤と抗菌剤、整腸剤を服用
(ぴよ太のバンブルフットが悪化した際、消炎剤と抗菌剤、整腸剤を服用 2012年7月28日)
バンブルフット趾瘤症にオロナイン軟膏
(ごく初期のバンブルフットに、オロナイン軟膏を使っています)

参考Webサイト“猛禽の森”

猛禽の森 獣医師、野生動物保全学修士・赤木智香子氏のWebページより転載
詳しくは、下記Webぺージを参考にして下さい。

http://www.d1.dion.ne.jp/~akaki_ch/care-feet.beak.html

趾瘤症
(しりゅうしょう、bumblefoot)

趾瘤症は、足の裏に起こる炎症性変性病変です。 野生の猛禽ではみられないことから、飼育下では自然環境・野生での猛禽の行動とは何か違う状態が起こっていることが原因と思われますが、発症のメカニズムは解明されていません。 体の重いワシなどの大型種、野生での運動量の多い大型のハヤブサ類に多く見られます。

原因
考えられている原因としては、 ・足の形にそわない形、不適切な表面素材の止まり木の使用:足の裏にかかる体重の分散に異常が生じ、腫れ(腫脹)が発生することがあります。 また、止まり木表面が滑りやすい等で足に異常な力がかかり、腫れを起こすこともあります。

・断翼や足・脚の骨折:断翼した鳥は、止まり木にとまったりする際にもバランスをとりにくく、そのため不自然な力が足にかかることがあります(特に大型種)。 また、足・脚を骨折したなどで、健康な足に多くの体重がかかる場合に、その健康な足に腫れが発生することがあります。

・狭いケージ:狭いケージで止まり木が1つだけで、鳥が止まったままであると、足への体液循環が悪くなるとともに、足裏に常に体重がかかり、腫れを生じることがあります。 また、止まり木が二つ以上設置されていてもその間隔が狭く、止まり木間を「跳び移る」ことを繰り返していると、着地の際に足裏に衝撃がかかるために腫れが生じることがあります。 広いスペースでは、鳥がはばたいて飛行して充分な揚力(浮く力)が発生しているので、着地の際には足裏には強い衝撃はかからないものです(身近な鳥、例えばカラスでも観察してみると、よくわかります)。

・運動量の低下と体重の増加:野生では狩りなどのために、運動量も多く、体重も適正であるものが、飼育下では運動量の低下、体重の増加が見られることがよくあります。 運動量の低下は体液循環を悪くし、体重増加は足裏への圧力を増加させるために、むくみ(浮腫)や腫れ(腫脹)を起こすことがあります。

・爪の延び過ぎ:爪が延び過ぎると足趾が止まり木から浮いて、足裏中央にかかる体重が大きくなり、そこに腫れを起こすことがあります。 また、延び過ぎた爪で自身の足を傷つけて、そこから細菌感染を起こして、趾瘤症に発展することもあります。

ハヤブサ類の正常な足底の様子。 足底中央にある大きなパッド(Mt, Matatarsal Pad)がもっとも影響を受けやすい。 ワシ類などでは、第1趾(D1, digit1)も腫脹がよく見られる部位である。

症状
初期の症状としては、足裏の皮膚表面の細かい突起がなくなってツルツルした感じになる、皮膚がピンク色になる(皮膚が薄くなっている)、小さな痂皮(かさぶた)や皮膚の壊死が見られる等が挙げられます。 症状が進むと、肉球(足裏や足趾にある盛り上がったパッドの部分、図を参照)に腫れが見られるようになり、薄くなった皮膚が傷付いたり、あるいは小さな壊死部分が侵入口となって細菌感染を起こしたりします。 細菌感染が進むと肉球内に膿瘍が形成され(うみがたまる)、さらにひどい場合には、腱や腱鞘、骨まで影響を受けてしまいます。 骨まで感染が進むと、骨髄炎となり骨が破壊されることもあります。

診断
足の状態を観察して、上記の症状が見られれば趾瘤症です。 骨髄炎の有無のチェックにはレントゲンが必要です。

治療
初期の趾瘤症
初期の趾瘤症では、症状を引き起こしていると思われる原因を取り除くこと(例えば、止まり木を適切なものに変えるなど)で、短期間で改善が見られることがよくあります。 細菌感染の見られない腫れには、患部に抗炎症剤(DMSOにステロイドを加えたものなど、下記参照)の塗布を行い、必要であれば保護のために包帯(趾間包帯や球包帯など、基本的な処置を参照)を施します。 細菌感染の見られる腫脹では、さらに抗生物質を加えたものを患部に塗布するとよいでしょう。 また、足が汚れている場合も多いので、薬剤塗布の前には足の洗浄が望ましいことが多いです。 ぬるま湯に消毒液(皮膚に刺激の少ないクロルヘキシジン系など)を加えたものを歯ブラシに含ませ、足裏を擦って洗浄します。 足の洗浄は、体液循環を促して浮腫の解消にも役立ちます。

DMSO混合液の作り方
・デキサメサゾン4mg
・抗生物質:piperacillin 400mg, あるいはenrofloxacin 40mg
上記をDMSOに溶解して10mlとします。
細菌感染のない場合には、抗生物質を加える必要はありません。
Piperacillin入りのものは、冷蔵庫で保存して1週間で使い切るようにします。 たいていの場合、10mlでは多すぎて使いきれないので、1ccのディスポ−ザブル注射器に作って、針をはずして患部に滴下して塗布する形をとると便利です。

重度の趾瘤症
症状が進むと、細菌感染を起こして肉球内に膿瘍が形成されることが殆どです。 この場合は、他の部位の膿瘍と同様に外科的な処置が必要となります。 但し、鳥類の膿は哺乳類のものと異なって流動性がなく(柔らかいチーズ状)、単に小さな切開を行って絞り出すということはできません。 足をよく洗浄.消毒(前述、初期の趾瘤症参照)した後に切開し、内部をよく洗浄して、滅菌生食に消毒液を加えたもの滅菌ガーゼなどに含ませて、内部に詰め込みます。 その上から、緩めの球包帯を施します。 この洗浄、乾湿包帯を3日程繰り返すと、腫脹は随分治まるはずです。 抗生物質の経口投与も必要です。
腫脹がおさまり、滲出液の大半は出てしまったところで膿瘍のカプセルなどの繊維組織の除去を行います。 この時、腱や腱鞘を極力傷つけないようにしなければなりません。 傷口の縫合は半分程度にとどめ、滲出液が内部に留まらないようにし、さらに前述の湿らせた滅菌ガーゼをつめます。 球包帯と詰めたガーゼは毎日取り替え、その度に傷および足の洗浄を行います。 治癒を促し、再感染を防ぐためには、コロイド状の保護剤などを傷口に塗布するとよいでしょう。 滲出液がなく感染もみられなければ、ここで初めて傷を全て縫合します。 この段階で、球包帯をSnow-shoe包帯に切り替えてもかまいません(包帯法は頒布本「鳥類の包帯法と副木/副子法」に詳しく説明されています)。 縫合部分に正常な瘢痕組織の形成が見られれば、順調に回復しているサインです。

予防
趾瘤症はひどくなると治療が困難なので、早期発見・早期治療および予防を心掛けることが大切です。 まず、足の状態には常に注意を払い、皮膚がピンク色である、小さなかさぶたや腫れがあるなどの異常が見られれば、すぐに対処します。 また、原因を作らないことも必要です。 特に、その個体にあった止まり木の使用と爪を伸ばし過ぎないことは重要なことです。 狭いケージでも同じ止まり木1つで通すことなく、数種の異なった表面素材や形のものをローテーションで使用する等の工夫が必要です。 適切な止まり木については「ケージ」の項を参照して下さい。 止まり木が足の形にそっているかを判断する簡単な目安としては、
・足趾の肉球がすり減っている場合:止まり木が太すぎる、あるいは平らすぎる。
・足裏の中央の肉球(metatarsal pad)がすり減っている場合:止まり木が細すぎる、あるいは丸すぎる。があります。
また、足がカサカサしている場合には、ビタミンA・Dを含んだ軟膏やローションを塗布してやるとよいでしょう。

参考Webサイト“にわとりが教えてくれたこと”

コッコ仲間の十一郎さんのブログは、ニワトリの病気や怪我、不調について詳しく解説をしています。 バンブルフットについても対処法を記されていますよ。 下記リンク先ページをご参考下さい。

鶏の足〜バンブルフット(趾瘤症)1〜

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